TEAM ZEROとは

 上演前の期待感、上演中の高揚感、上演後の満足感。

 演劇の好きな方なら、これらを味わったことは少なからずあると思います。これが小劇場となると、またひと味違った雰囲気が楽しめますよね。そうした小劇場のファンの方も多いと思います。

 しかし、小劇場界には数々の問題があります。そして、その問題ゆえに劇団が立ち行かなくなってしまったり、そこに所属している俳優が路頭に迷ってしまうことが多いのです。

 小劇場の世界は、ほとんどの劇団が赤字経営だということをご存知でしょうか。

 一定数の顧客を呼べる劇団ですら、金銭的に逼迫していることがほとんどです。そのため、そういった劇団は、公演資金を、その劇団員が自ら捻出することもあります。ギャランディの遅延/未払い、さらに、少しでも観客を集めるために、みずからチケットを販売しなくてはならないというノルマを背負っていたりなどします。そこまでしても劇団は赤字経営です。だから劇団員は、アルバイトなどで生活費を稼がなくてはならないのですが、その時間さえも稽古のために費やさなくてはなりません。

 どうしてそこまで極限状態でいなければならないかというと、それは劇団としての個性(悪い言い方をすればメンツ)を維持するためだったりします。

 そういえば、5歳で初舞台を経験し、以後80歳近くまで活躍した喜劇人のいたことを思い出しました。

 その喜劇人の名は、チャールズ・チャップリンといいます。

 彼はこんな言葉を残しています。

 

  Imagination means nothing without doing. 

 (行動を伴わない想像力は、何の意味も持たない)

 

 赤字経営をしながらも舞台を続ける彼らは、ある見方をすれば滑稽なのかもしれません。しかし苦しいながらも行動を起こし、自らの想像・表現を実現している彼らは、チャップリンの言葉に沿うなら賞賛するべき姿とも言えるような気がします。

 運が良ければ人気を出すことは可能かもしれません。しかし、そのためには個性を放棄しなくてはならない場合もあります。その結果、従来の個性が好きだったファンには見放されてしまいます。観客の皆さんが楽しむことができるのは、劇団サイドの血の滲むような努力のおかげである場合もあるわけです。

 

 つまり劇団は、

 

 大衆に迎合して個性を放棄するか、個性を維持するために赤字経営を続けるか――――。

 

 という葛藤に陥ります。

 その結果、劇団は個性を選び、苦しい状況になってしまうことが多くあります。

 そんなありさまなので、いつになったら黒字経営ができるくらいまで人気を取ることができるのか分かりません。そして、それが分からないから、いつかは人気を取ってみせると意気込んで、いつまでも劇団の赤字経営と、自身のじり貧の生活を送ることになります。そうした結果、俳優の中には借金漬けになってしまう人などもいます。そして年齢を重ねているので、生活のための仕事が見つからない状況に追いやられてしまうこともあるのです。

 また、俳優として仮に人気が出て、外部の公演などへの出演要請などがあったとしても、俳優はそれに両手をあげて喜ぶことができません。なぜなら、まずは自分が所属している劇団に対してスケジュールの確認や許可を得る必要があるからです。そうした〝義理立て〟から、実力はあるのに多くのチャンスを逃してしまい、俳優業に限界を迎えてしまう場合もあります。

 これでは小劇場という世界は力を失ってしまうかもしれません。いや、明らかに失いつつあります。

 そうなってはいけない――私達はそう思いました。俳優は、劇団や演出家の手駒ではないのです。俳優は、多くの機会に触れることで経験を積み、成長していくべきものです。そして競うべきです。それがひいては演劇の質を高めることになり、観客の皆さんに喜んでもらえることにも繋がります。小演劇界はそうあるべきだと考えました。

 

    しかし、問題はその方法です。

 これではいけない、何とかしなければならない、そう考え、語ることだけなら誰にでもできます。本当に必要なのはその方法と行動です。そこで私達が実際に行動に移した方法があります。

 それは「護送船団方式」でグループ化しようというものです。

 従来は、俳優が劇団に所属し、劇団の演出家の指示のもとに役を演じて舞台を作る、という形が主流でした。しかし「護送船団方式」はそれとはまったく違います。

 私達の集団は、大きく3つの部門から構成されています。

 

 ・「TEAM ZERO」計画的な劇団運営や公演を制作/指揮を行う部門。

 ・「Actors Bank」舞台に立つ俳優が所属する部門。

 ・「クリエイター集団」演出家、脚本家、デザイナー、制作/技術スタッフが所属する部門。

 

 そしてテーマや方向性ごとに演出家に紐づいた劇団を運営します。劇団は、作品の内容に合った俳優に声をかけ、役者は演出家の提案を聴き、判断します。そして意見をぶつけ合いながらも最高の作品を作るわけです。役者も演出家もスタッフも常に対等な関係であるべきです。

 そうすると、演出家や劇団と俳優同士の組み合わせが、公演ごとに違ったものになります。こうすることで、俳優にしても劇団にしても、お互いにメンツを立てるなどの義理立てを気にする必要がなくなり、さまざまな機会を得ることができるようになります。結果的に、それが作品のワンパターン化やマンネリ化を防ぐことにもなるわけです。

 さらに、演劇を観て、こう思ったことはないでしょうか。

「この劇団のこの俳優と、あの劇団のあの俳優の共演を観たい」

 「護送船団方式」なら、それも実現し得ます。

 これまでは、劇団のイメージやメンツを優先し、採算度外視の公演を繰り返して劇団が立ち行かなくなる、という話はよくあるものでした。

 しかし赤字前提の公演は、単なる浪費や趣味の世界でしかありません。我々はプロの領域を目指します。採算を度外視するような真似はしません。上記のような構造で、無理のない計算された劇団運営を徹底します。

 

 ・特定の劇団に縛られない組織。

 ・常に対等な関係。

 ・俳優に対する、より多くの経験の提供。

 ・共有資産の獲得と管理。

 

 「TEAM ZERO」には、これらの考えを理解し、賛同し、実行する強い意志を持った人たちが集っています。また、まだ繋がっていない方でも、賛同してくれる方とはジャンル問わずこれから誰とでも手を組ませていただきたいと思いますし、どんどん新しい挑戦をしていきたいと思っております。

 私達は大衆に迎合して個性を放棄するのでもなく、個性を維持するために赤字経営をやることもありません。

 私達は、個性を維持し、かつ黒字運営をします。

 結果として、俳優には活き活きと舞台を演じてもらい、観客の皆さんにはさまざまな味の作品を味わっていただくことができると信じております。

 それが「TEAM ZERO」の目指すところです。

 

 そんな私達から、皆さんに2つのお願いがあります。

 1つは観客の皆さんに対してです。小劇場の世界で、新しい挑戦をする若者たちには、観客の皆さんの応援が何よりもの糧となります。そんな彼らを見守り、応援していただけたら、我々としてはこの上なく嬉しく思います。そして、作品をご覧になってお持ちになった感想を寄せて頂けたらなおありがたく思います。演劇は観客の皆さんがいて初めて成立するものです。だから、言ってみれば観客の皆さんも私達の仲間ということになります。仲間なので、忌憚のないご感想やご意見をお寄せいただきたく思います。

 そしてもう1つは、現在演劇の世界にいる方、あるいはこれから目指そうとしている方に対してです。

 これまでにもお話ししてきたように、実力があるのに、しがらみによって実力を出し切れていないと思われている方がいらっしゃるのではないかと思います。もし現状でそのような不満や生活苦の中にいるなら、私達の仲間になりませんか?­

 仲間に参加していただければ、もう劇団のメンツを心配する必要はありません。演出家の言いなりになる必要もありません。金銭的に苦しむ必要もありません。参加してくださった俳優の方には、実力や個性を存分に出していただくことに加えて、自分が出演する作品に対する想いや意見を存分に言っていただきたいと思っています。そうした信念と自主性を持っている俳優の方の参加を、私達は心から必要としています。なぜなら「上意下達」ではなく「侃侃諤諤」の上に作品を成立させたいというのが私達の考えだからです。なので、むしろ言いなりではいけないんです。

 人形ではなく、自ら動く意志を持った俳優の方の参加を、心からお待ちしています。

 もし興味を持っていただけましたら、こちらまで気軽にお問い合わせください。

 「TEAM ZERO」が育っていくためには、作る人と観る人、両方の参加が必要です。どうかよろしくお願い致します。

 

 演劇集団 TEAM ZERO 総監督